しんど

大阪ことば　あいうえお

し

しんど

こちら道修町研究所

ここまでくる道のりは
しんどかったことやろ…

初場所　
３４歳で　つかんだ
玉鷲　優勝。

千秋楽のこの日
第二子も誕生したとの事や…。

めでたい。

しんど…て…

『どんな字ぃ？…』と　庶務のドンふら子が
隼太主任に　けったいな事　聞いてる。

だいたい　
隼太主任に聞いても　
しんどいのんと
ちゃうのん？

だいたい≒そもそも
しんどい≒的外れ
　
つらい苦労を
辛労と言うた。

しんろう　しんろう　
しんろ　しんろ

それが　なまって
『しんど…になった…』と　
いいながら　川藤顧問。

『あぁ　しんど』

しんど≒くたびれた

人との会話が　
おもろない時

オオサカジンは　
しんど…と　言う。

どやどや　
『迫力やった…』と　
ふら子と経理女子が
言うてる横から

どやどや…て
　
『なんなん？』と　主任。

しんどい男や…。

しんどい男≒手間のかかる

元日から十四日まで行われる
修正会

その結願の十四日に
催される大阪・四天王寺の
正月行事。

寒風の中
東西に分かれた
ふんどし姿の男たちが

六時堂の心柱の天井から
撒かれるお札を　
激しくもみあいながら
奪い合う行事。

これがどやどや。

細かな解説は
牧村先生によると…

修正会　法要中に
祈祷された牛王宝印の
厄除け護符を

近郷の
若者数百人が　寒中
素裸となって奪い合う。

岡山西大寺の会陽と
供に　古来有名な
習俗となっている。

との事…。

六時堂（亀の池の…）堂内で

天下泰平　
五穀豊穣を祈願する
儀式が行われている間

前面の拝殿の
東西から
　
赤と白の鉢巻きと
ふんどしに色分けした
血気の若者たちが
裸体で押し寄せて

四人づつ
双方背中あわせに
なった屈強な代表者を
中央にはさみ

『カツサンドの　カツ…みたいに？』と
ふら子。

左右から　猛烈に押し合い
もみあい…

『裸でおしくら饅頭…？』

昔は
東の白は　
生野方面の百姓

西の赤は　
阿部野辺の漁師をあらわす。

どちらかが押し切って
勝ち敗けが決まると同時に
　
堂前のかがり火が
点ぜられ
この儀式は終わる。

その時
梁の上から　
牛王宝印を　
この群衆の中へ投げる。

この牛王の札を
農家などで田畑に
立てておくと
その年の作物が
豊かに実ると　信じられた。

どやどやの行事は
もともと　天王寺村の
農家が五穀豊穣を
祈願した名残り…と　牧村先生。

ドヤドヤ　
（どうだどうだ）

これでも　負けへんか
と　怒鳴りあいながら　
押し合ったからだとも　
いわれるが
　
どんど（左義長）に
関係ある語で

トードーや
トードーやと
いったものが

訛ったのでは　
なかろうか…と　先生。

今は　
どやどやで裸になる　
近隣の百姓の青年も
漁村の若者もおらんから…

和泉チャイルド幼稚園
御池代幼稚園
四天王寺夕陽丘保育園
悲田院幼稚園等の
園児達が男児は上半身裸
女児はTシャツなど軽装で参加。

『寒い　けど　頑張ってた…』

清風高校　
清風南海高校の
男子学生たちは
ふんどし姿で
赤・白組に分かれ
掛け声と共に入場する…と

先生が生徒に
水を掛ける。

寒い時に　裸になって
水まで　かけられながらも
護符を奪い合っての勝敗。

しんど…と　おもいながら
参加した高校生…

けど
こんな経験は
一生の良い思い出になるやろ…

裸の高校生に　容赦なく
水が　ぶっかけられる…

青年の熱気と熱気で　
冷たい水が
湯気にかわるたんびに

観客から　歓声が…。

（蛇足）

裸体の高校生達に
水まかんかったら

身体と身体が　
すれ合うて

『やけど　してしまうからやデ』と
横町の大旦那。

先生も指導しながら
しんどいことやろけど
よぉがんばってる。

清風の先生　学生。

あぁ　しんどと　言わせん
理事長が
しっかりしてるからやろ…。

しんど≒辛労≒つらい苦労