すんまへんなぁ

大阪ことば　あいうえお　す

すんまへんなぁ

いつものモーニング
　
ライトスタンドの上段
今度は　メットライフドームの
ホームラン　

こら　えらいこっちゃデ

虎のドラ１　佐藤選手
背番号８　エイトマン　
また　また　また　打った　
『矢野さん　ほんまにえぇ選手引いたもんや…』と
喫茶店のおばちゃん。
　
熱狂的ジャイアンツファンの
ナベツネ長老に
『すんまへんなぁ…』と　マスター。

すんまへん
≒ありがとう
≒恐れ入ります
≒悪うございました

甲子園に出てない選手は
全国区ちゃうからナ…と
言うのが　持論の　
ナベツネ長老に

佐藤選手は　
『甲子園に出てへん』と
マスター。

出ないどころか　
仁川学院は
夏　地方大会の1回戦で
コールド負けするようなチーム。

高校球児の夢
甲子園。

野球が強い高校ちゃうから
佐藤選手は　
甲子園のことなんか
正直　考えた事が無い。
　
『なぜか　無い』と言うてる。

当時
指導していた中尾和光部長に
よると

高校2年から始めた
ウェイトトレーニングが
転機になった…と言う。

学院のグランド練習で
金属バットながら　
校舎の3階４階
（130m～140m）付近に
当たるようになり　試合でも　
毎試合　ホームラン。

その時期に
プロになろうと決めたんやが…

自分のペースをもっている
佐藤は　大学を選んだ。

そこで　出会ったのが
近大の
田中秀昌野球部監督。

1993年に上宮高校の
監督として選抜大会を制し　
2011年には
東大阪大柏原高校を
初の甲子園出場に導いた。

高校球界の指導者として
評価が高い監督のひとり。

そんな田中監督に

その頃　低迷していた
近畿大学から
野球部の再建を託された…が

『近大には　有数の野球部
OB指導者　先輩方がいらっしゃる』と
田中は　固辞に固辞を重ねた。

ちょっと…ちょっと
田中監督の話しやのうて

『佐藤君の話しは　どないなってる』と
おばちゃん。

『すんまへん…』と　
いいながら　マスターは話しを
続けてる…

監督として　近大野球部に
着任した年に入部してきた
1年生が4年になった
17年の春に　
近大優勝。

見事に
『近大野球部を復活させた』

その時　活躍したのが
小深田（19年ドラフトで
楽天が1位指名）選手。

その後輩にあたる
佐藤には　1年生から　
中軸をまかせた。
　
守れて打てる
身体能力をもった
佐藤選手を　
『プロに行かさなアカン』と
田中監督自身も
覚悟を決めて指導したそやデ。

そして　見事に応えた佐藤選手。

ドラフトのクジを
外してしまった
ソフトバンクの工藤監督は
今でも残念がっている。

逆に　　
夢を引き当てた
矢野監督は
ドラフトの夜　
喜びのあまり眠れなかった…らしい。

一途一心

将来　フォーティ　フォーティ
40盗塁　40本塁打
走攻守ケタちがいの
夢のある選手を引き当てたのやから…。

（蛇足番）

虎ファンにとって
今春ほど　待ち遠しく　
期待がふくらむ
シーズンインは無い。

佐藤選手は　多くの夢を
みさせてくれるやろ…

クジはずしたチームの
ファンのみなさん
『すんまへん…なぁ』と
横町の大旦那。

大阪ことばの
すんまへんは
有難うより　軽妙で
親密感をもったことばなんやデ。
今日のところは　
こんな話しですんまへん。