にゃんこのばば

大阪言葉　あいうえお　に
にゃんこ

お寺の掲示板の下に何枚ものビラ

“にゃんこに　餌あげないで”
エサあげるなら　猫　連れて帰って下さい。

にゃんこ≒猫の幼児語

お寺の境内でも
ほんまに　にゃんこのばばが臭いのや。

ばば≒糞

いつものモーニング

昨日　来はりませんでしたな
『どこぞ　行ってはりましたんか？』と
喫茶店のおばちゃん。

市内の歩こう会に
『参加してきてん』と　向こうの町会の
鍋津根長老。

どこまで…？

『中寺町知ってる？』

『下寺町は知ってるけど…』

まぁ　知らん人が多いわな

高津神社の東側の通りで
『谷町筋から一本西の筋やからな』

寺が軒を並べてるところなんやが
『お初の墓もお参りしてきた』

『知り合いでっか…』

近松門左衛門の名作
曽根崎心中のお初徳兵衛のお初やがな。

そこから歩いてすぐ　常国寺のお墓…
『墓前に…レモンが…あった』

だれか忘れはったんやろか…

『墓に　檸檬　
忘れるやつおらんやろ…』

『あきらかに　どなたかが
檸檬を　お供えしてはるのや』

わかった…そこ…
『くだもん屋してた家の墓やろ…れもん売っていた…』

レモン　もったいないから　もろていけ…てか？

ねこばばしたらアカン…
お供えもんや。

（蛇足番）

名作檸檬を書いた　梶井基次郎の墓所
『ほんまに　檸檬が供えてあった』と
横町の大旦那。

ねこばば≒すっとぼけて盗ること