たんのした
大阪ことばあいうえお た
たんのした
いつものモーニング
『昔やけど…開幕試合の…
4打席4三振 覚えてる…?』と
鍋津根長老。
若いファンは 知らんと思うけど…
六大学屈指の打者
ジャイアンツのルーキー
長島茂雄選手が
開幕試合に 当時 既に
210勝以上あげていた
大投手
金田正一に挑んだ。
打順は
2番やった。
第1打席 空振り三振
第2打席 空振り三振
第3打席 空振り三振
第4打席 空振り三振
19球投げた金田の球を
長島は何球 バットに当てたと
思う?
打ち損じた
『ファウルもあるやろから…』
長島のバットにボールが
当たったのは…
記録をみると…
第2打席の
3球目。
よけたバットにボールが当り
ファールボールになった
たった1球だけ…
長嶋のバットは
この試合 クウを
クルリクルリと
切っただけやった。
開幕日の4打席4三振事件
あれは技術の問題ではない…と
後に 金やんは言葉を残してる。
「
学歴社会に対するおれの
怒りの表現だと思ってくれ」
ベテラン大投手の意地
挑んだ
ルーキーの溌剌とした三振が
新しいプロ野球の時代の
幕開けを予感させた名場面やな。
スポーツ紙のコラム
読んでる鍋津根長老。
ジャイアンツが えぇ試合をすると
繰り返し繰り返し
たんのしながら
珈琲を美味そうに飲んでる。
それ 観てるだけで
『Gが勝ったかどうか…わかる』と
喫茶店のおばちゃん。
『浅いっ…』
ちゃうのやなぁ…
Gのことより…
『亀ちゃんが活躍したかどうかなんや』と
マスター。
『亀井選手…が?』
彼がメンバーに入ってなければ
『Gが 勝ったとしても
たんのしたことにならん…』と 長老。
リトルリーグの時から
亀ちゃんを 見てきてるから
感情移入してしまうのやてぇ…
そういえば…
店に なんで?
『ジャイアンツカレンダー
おいてへんねん?』と 長老。
やめた鈴木が11月
よそいった大田が12月に
載っているけど…
『6月は
亀井義行
単独ページやデ…』
水着女優やあるまいし…
『そんなん楽しい?』と おばちゃん。
『じゃかましワイ』
ファンの心理は
応援してる選手が活躍してくれて
チームが勝利すれば
『今日は たんのした…
大いに満足満足』
充実した気分にひたれるけど
なかなか そんな日ぃは少ない。
(蛇足)
阪神電車の中で
六甲おろしを唄う
虎キチの
たんのした顔
みたことある…か。
『ほんま 幸せそうやデ』と
横町の大旦那。
たんのした≒満足した
当時 録画ビデオが家にあれば
もっとたんのできたのになぁ…